海外で読解力を伸ばすには(高学年編)
学生時代、「国語はセンスだ!」と聞き、それを鵜呑みにしていた私。
そのセンスがなかったため、当然、国語の成績はあまり良くありませんでした。
けれど、そんな子どもの頃の私に伝えたい、「国語はセンスじゃないよ〜!!」と。
現地校に通いながらも国語の読解力を身に付けるコツを学年別にお伝えしています。
(低学年編はこちらへ。
中学年編はこちらから!)
海外在住でも、高学年の子が読解力を伸ばすのに大切なことは二つあります。
それは…
1 あらすじをとらえる
2 主題をとらえる
ことの二つです。
1 あらすじをとらえる
一つの物語には、たくさんの場面の移り変わりがあり、登場人物の気持ちも変化していきます。
それらがどのような順番で書かれ、どんな内容なのかを簡単にまとめたものを「あらすじ」と言います。
あらすじをとらえるには、次の4つに注目します。
① 設定
② 出来事や事件
③ 場面や気持ちの移り変わり
④ 物語の終わり方
上の1〜3は、実は、低学年・中学年のうちに習得しておくと読解がより楽しくなるポイントでした。
高学年では、それらにプラスして、物語の終わり方をとらえることができたらもう万々歳です。
童話「花咲かじいさん」で、あらすじを確かめてみましょう。
① 設定
いつ? 昔
どこで? 里山
誰が? 優しいおじいさんおばあさん、ポチ、意地悪なおじいさんおばあさん
② 出来事や事件
・ポチが「ここほれ、ワンワン」と示したところを優しいおじいさんが掘ると、お宝が出てきた。
・それを見た意地悪おじいさんは無理やりポチを鳴かせるも、掘ったところからは変なものしか出なかった。
・怒った意地悪おじいさんは、ポチを殺してしまった。
③場面や気持ちの移り変わり
・その後も、優しいおじいさんは何をしてもいいことが起きるが、意地悪なおじいさんは同じことをしても悪いことが起きた。
④物語の終わり方
・意地悪おじいさんは牢屋に連れていかれ、優しいおじいさんはいつまでも幸せに暮らした。
といった感じで、「花咲かじいさん」のあらすじをとらえることができます。
高学年の教科書には、大造じいさんとガン、帰り道、やまなしなど、読み応えのある物語があります。
こういった物語も、上記の4つに注目し、一つひとつ考えていくと、意外と簡単にあらすじをとらえられるんです。
2 主題をとらえる
高学年の子が、読解力を伸ばすコツ二つ目は、主題をとらえることです。
主題とは、その物語を通して作者が最も伝えたいことです。
英語では、「テーマ」でしょうか。
主題は、次の3つを確かめることでとらえやすくなります。
① あらすじ
② 山場での出来事
③ 登場人物の生き方や考え方
例えば、先の「花咲かじいさん」で考えてみると…
優しいおじいさん
・ 優しい。
・ 辛いことがあっても、前向き。
意地悪なおじいさん
・ 意地悪。
・ 目先の利益にとらわれている。
・ 気に入らないことがあると、
すぐ他者のせいにして、
己の行動や考え方は省みない。
といった感じでしょうか。そこから、私が読み取った「花咲じいさん」の主題は…
自然や動物、人など、周りのものに敬意をもちながら前向きでいると、とても幸せに生きることができる。
何かを真似するにしてもその背後にある心を理解し、実践しないことには、己の身にはならない。
でした。ただ、主題をとらえるのはとても高度で知的な活動です。
子どもがこちらの意図したことを言わなくてもがっかりしないでくださいね!!
その日の時点での、私たち大人の尋ね方と子どもの読解力で、精いっぱい考えた結果です。
考えたことをまずは認めてあげましょう✨✨
じょんじょんの長文読解の授業では、どの子もその物語の主題に気付けるよう、その場にいる子たちの興味関心や理解度、読解力、語彙力に合った質問の仕方や授業の運び方をしています。
同じ「やまなし」の授業で、同じ主題をとらえることを目標としても毎年違う授業展開になるのはそのためです。
同じ子は一人としていないし、同じ集団は一つとしてありません。
だから、楽しいんです、私が(笑
まとめ
以上、海外在住でも、高学年の子が読解力を身に付けるのに大切なポイント二つでした。
1 あらすじをとらえる
2 主題をとらえる
もしお子さんが読解に苦手意識をおもちなら、低学年・中学年と、前の学年に戻って確認していくことをオススメします。
大丈夫、誰もが皆、今いる場所からスタートです。あとは、伸びていくだけですから!