海外で、読解力を伸ばすには(中学年編)

学生時代、「国語はセンスだ!」と聞きそれを鵜呑みにしていた私。
そのセンスがなかったため、当然、国語の成績はあまり良くありませんでした。
けれど、そんな子どもの頃の私に伝えたい、「国語はセンスじゃないよ〜!!」と。
今日は、3〜4年生で現地校に通いながらも、国語の読解力を伸ばすためにキーとなることを3つお届けします。
(低学年編はこちらから)

1 場面の変化をとらえる

例えば、3年生の「ちいちゃんのかげおくり」。
いつ何度学習しても、私は涙なしにはこのお話は読めませんでした。
特に、子どもが小さいうちは、我が子とちいちゃんが重なり、家で予習するたびに泣いていました。



と、私の話は置いておいて…
中学年は、場面の変化をとらえることがポイントの一つとなります。
下の写真のように、1行空いているところで場面が分かれています。

中学年では、それぞれの場面の

・ 時と場所

・ 登場人物

・ 出来事

などを正確にとらえられるようになりたいです。
「1の場面は、いつのお話?」
「2の場面は、ちいちゃんはどこにいる?」
「3の場面は、誰と会った?」
と、子どもに尋ねてみるのもオススメです。



また、「(離れ離れになったお父さんたちと)本当に会えたんだね。良かったね!」などと揺さぶりの声掛けをしてみて、お子さんが「え?!これはただの幻だよ!!」などと説明し出したらシメたものです( ´ ▽ ` )



「えー??!ホントに会えたわけじゃないの?!どうして分かったの?!」とどっさり褒めてあげてください。
ここで、「そうだね、良かったね!」と返ってきたら「誰の声が、どこから聞こえてきたの?」などと、お子さん自身が自分で「あれ?」と気付けるような質問をしてあげてくださいね。
そこで気付けることが増えたら、それは、確実にその子自身の力となっていきます。



2 情景をとらえる

「情景」とは、単なる景色を指すものではありません。
情景は、登場人物の気持ちが映し出されたものなので、情景をとらえることによって登場人物の気持ちを読み取ることもできます。



例えば、「どんよりとした曇り空だった。」という表現があったとします。
そこで、予想されるのは、主人公のもやもやした気持ちや不安の気持ちですよね。
そして、それが「いつの間にか晴れ間が差していた。」のだとしたら… 主人公の気持ちが晴れて、現状や未来への前向きさを感じているということが読み取れますね。
そういった気持ちの移り変わりを的確にとらえられるようになったら、物語文の読解力もいい感じに身に付いてきていると思います。




3 登場人物の気持ちをとらえる

物語の内容を理解する上で大切なのは登場人物の気持ちを読み取ることです。
先の、情景描写をとらえることももちろん大切ですが、次のような表現に着目することでも、登場人物の気持ちを読み取ることができます。



① 気持ちを表す言葉や表現

② 登場人物の表情やしぐさ

③ 登場人物の会話

④ 登場人物の行動



例えば、②についてお話しします。
「ユリは、顔を真っ赤にしてうつむいた。」という叙述があったら、ユリはきっと恥ずかしい、やっちまったといった気持ちかと思います。
そこに気付けたら、「何をしちゃったの?」などと内容読解に関わる質問をしてみるのもいいでしょう。
また、「あなたがユリだったらどう?」と読書を楽しむ視点からの質問をしてみるのも楽しいと思います。



また、④では、4年生の「一つの花」の中で、戦争に行くお父さんが「プラットホームのはしの方で、ゆみ子をだいて、そんなばんざいや軍歌の声に合わせて、小さくばんざいをしていたり、歌を歌っていたりしていました。まるで、戦争になんか行く人ではないかのように。」といった叙述があります。
どこか他人事であり、心の奥底では戦争に行きたくないというお父さんの気持ちが、「はしの方で」「小さく」「戦争になんか」といった表現から読み取ることができます。



こういった言葉の一つひとつから、登場人物の気持ちをとらえていくことが、中学年では大切なことです。
一緒にお話を読んだら、親子の会話の中で、こういったことを尋ねてみることもいいと思います。
もちろん、子どもが「正解」を言わなくてもいいです。
まるで、静かな池に石を落とすと波紋が広がるように、子どもの心に一つきっかけを作り、それが少しずつ広がっていけばいいんです。


まとめ

今日は、現地校に通っていても、中学年の子が読解力を伸ばすにはといったことについてお話ししました。

1 場面の変化をとらえる

2 情景描写をとらえる

3 登場人物の気持ちをとらえる

この3つの力を中学年のうちに育てると、物語の読解がますます楽しく、そしてより深いものになります。
いつも言っていることですが、すぐにできなくてもいいんです。
楽しみながら何回も子どもとのやりとりを続けていくとコップの水がいつか溢れてくるように、子どもの心に腑に落ちるときがいつかやって来ます。
お互い気長にのびのび行きましょう。

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